ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アドルフォ・ビオイ=カサーレス『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』(岩波書店)

無実の罪で21年の懲役刑に服す、元床屋のイシドロ・パロディ。静かな刑務所での修養により深い知性を得たパロディは、一歩も動かずに事件を解決する究極の安楽椅子探偵となり、彼の独房には奇妙な事件を持ち込む奇妙な依頼者が絶えないのであった。 1942年の…

 米澤穂信『さよなら妖精』(東京創元社)

近世の街並を残す地方都市で暮らす高校生の「おれ」たちのもとにやってきた異国の少女・マーヤ。ありふれた日常の中に新鮮な謎を見い出していく彼女の存在に、何事にも本気になれない「おれ」の心は動かされていく。そしてマーヤが去った後、彼女の残した最…

 源氏鶏太『川は流れる』(春陽文庫)

失恋の痛手を負い自殺しようと阿蘇を訪れたOLの志奈子は、温泉芸者の染弥に出会い救われる。染弥もやはり失恋の痛手から自殺を図り、命を取り留めた過去があった。二人は意気投合し、志奈子は大阪へ、染弥は芸者を辞め本名の久恵に戻り東京でバーのマダムと…

 吉村萬壱『バースト・ゾーン ―爆裂地区―』(早川書房)

頻発するテロにより社会のインフラが崩壊し、貧困と不潔と退廃に被われた某国。街には「テロリン」殲滅を叫ぶ国威発揚宣伝が溢れ、行き場のない愛国心がテロリンらしき無辜の市民へのリンチを招いている。閉塞した島国に収まらない深い業を秘めた男女は、国…

 源氏鶏太『川は流れる』(春陽文庫)

古書店にて100円。ともに失恋し自殺を図った二人の女の再生を描く一大長編(二段組で540ページ!)。そのうち読もう。

 シオドア・スタージョン『海を失った男』(晶文社)

長らく長編『人間以上』『夢見る宝石』しか読めなかったスタージョンも、この1年半で次々に短編集が刊行され、名高い「ビアンカの手」も初めて読んだ。社会からの疎外感と他者との一体化願望、本物と紛い物、聖と俗、濃厚なエロティシズムなど、長編にも現れ…

 モノに囲まれモノに酔い

阿佐ヶ谷からついでに中野まで足を伸ばし、他に行くところもなくブロードウェイに。またもやまんだらけが増殖しており、虫の大軍のようなカプセルフィギュアの陳列にうんざり。明屋書店やレコミンツ覗くが何も買わず。TRIO2で『ベースマガジン』95年11月号購…

 今野緒雪『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』(集英社コバルト文庫)

吉祥寺でフラゲしドトールで読了。黄薔薇・白薔薇・紅薔薇それぞれの姉妹の小波瀾を描くオムニバス。各編に共通する描写やモチーフを重ね合わせてみせるなど、作者の持ち味でもある技巧派ぶりが示されている(にしても、そういう趣向は自ら明かさないほうが…

 短パン解禁

パンツが払底し海パン刑事となる寸前で晴天に恵まれ、午前中に大量の洗濯を済ませる。午後から短パンの人となり武蔵境へ。図書館でシオドア・スタージョン『海を失った男』(晶文社)借りる。続いて書店でおがきちか『Landreaall(ランドリオール)』6巻(一…

 Reading Baton

Musical Batonのほてりも冷めぬまま、新たなバトンが挿入されました! 拡張!拡張! もうこわれちゃう! ……すみませんid:pouseさん。粛々とバトン(id:pouse:20050620)を挿入、いえ受け取らせていただきます。出発点はここ。id:aruaru:20050618#1119101134 …

 ヘビメタさん

『ハチミツとクローバー』大特集の『CONTINUE SPECIAL』(太田出版)を読んで、ハチクロとは全然関係ない小特集『ヘビメタさん』(テレビ東京)に興味を惹かれた。折よく今日の深夜放映で、さっそく観てみたら相当面白いですよ。昔の『寺内ヘンドリックス』…

 購入物メモ

山本ルンルン『マシュマロ通信』第9巻(ジャイブ)スタイリッシュな絵柄とストーリーテリングの双方の洗練が、高い次元で均衡しており完成度はますます高い。収録作4編のうち2編はアニメ化されているが、原作のシンプルな美しさに比べると、アニメ版はかなり…

 読了本メモ

桜庭一樹『荒野の恋 第一部』(ファミ通文庫)佐藤哲也『異国伝』(河出書房新社)東村アキコ『きせかえユカちゃん』第7巻(集英社りぼんマスコットコミックスクッキー)おかざき真里『渋谷区円山町』(集英社りぼんマスコットコミックスクッキー) 『荒野の…

 トマス・M・ディッシュ『虚像のエコー』(ハヤカワ文庫SF)

だいぶ前に古本で買ったのを今読み始めたところ。

 お茶の水徘徊

展覧会を見た後、水道橋〜お茶の水界隈を歩く。数年ぶりに「いもや」の天丼を食う。エビ・キス・イカ・ノリの天ぷらが載った500円の天丼には、ファストフードにはない「人の食い物」としての実感があった。古本屋や新刊書店もいくつか覗いてみるものの、無数…

 古川日出男『gift』(集英社)

古川日出男という小説家の最も大きな才能は、とにかくエピソードを数多く思い付くことだろう。だがその才能は、一作品にいくつもの挿話を入れ込んだ果てに物語の本筋が見失われたり、物語ることの欲望のままに閉じられるのを拒むような曖昧な結末となったり…

 佐藤亜紀『天使』(文春文庫)

上のロイホにて読了。第一次大戦時のオーストリアを舞台に、美貌の超能力青年ジェルジュが活躍する超能力スパイアクション。という内容は大変にキャッチーなのだが、そっけなくも格調高い装丁が、本来の読者を遠ざけているのではないか。黄昏のウィーン、強…

 ポロシャツに乳首が擦れて刺激が

そんな夏日に昼寝することなく昼飯食いに武蔵境へ。大戸屋にて親子丼。 書店に寄り山本ルンルン『マシュマロ通信』第8巻(ジャイブ)購入。『comic新現実』vol.4(角川書店)は書店で見かけるたびに迷うのだが今日も買わず。吾妻ひでおのために大塚英志マガ…

 連休用、などと糊塗するまでもなく

佐藤亜紀『天使』(文春文庫)読了しないまま古川日出男『gift』(集英社)、堀江敏幸『雪沼とその周辺』(新潮社)借りる。

 唐突にマリみて話

主人公・福沢祐巳の成長小説としての『マリア様がみてる』の主題は「他者を通して自分と世界とに出会う」ということに尽きるだろう。『マリみて』初期の祐巳にとって、小笠原祥子は唯一の他者であり、世界の全てだった。祥子以外の友人たちは世界の彩り。祥…

 見上げれば花

往来の全てが桜の雲に覆われている。普段は花など目にも留めない人々が、これ見よがしに頭を上げてその美しさを嘆賞する。花といえば桜か。日本人の心か。うつむいてタンポポかレンゲでも捜してみよう。 佐藤亜紀『天使』(文春文庫)読み始める。第一次大戦…

 堀江敏幸『熊の敷石』(講談社文庫)

芥川賞受賞の表題作より、同時収録の「砂売りが通る」の萌え描写が問題。現在38歳独身の主人公は、死んだ友人の妹であり、離婚した夫との間に娘を持つ現在24歳の女性と、彼女が6歳の頃からつかず離れずの付き合いを続けているのだが、 かがみ込むともう十分…

 午後の膠着

午後の2時に起きて、西友に買い物に行ったほかは外に出ずネットと今野緒雪『マリア様がみてる 妹オーディション』(集英社コバルト文庫)を読んでたら目の奥と頭が痛い。マリみて新刊は31日にフラゲして以来繰り返し読んでいるのだけれど、ここ数巻ではベス…

 第7荻窪アワー

所用を済ませた後、なんとなく荻窪まで足を伸ばす。 まず日高屋が出店していたのに驚く。東京ラーメンの聖地扱いだった土地に、安ラーメンチェーンの日高屋が。折しも有名店だった丸福は家賃滞納で撤退、これも御時世か。 ドトールで堀江敏幸『熊の敷石』表…

 渡り鳥北へ

そろそろ鴨たちも見納めと、昼過ぎに石神井公園に出向く。 花粉よりも春の陽射しを優先した人々で賑わう昼の公園は、池面から立ち上る深い靄と肌を刺す冷気が、人工の小自然を深山幽谷へと近付ける、朝の公園とはまったく表情が違う。犬を曳いた親子連れ、ザ…

 花粉にまみれて

武蔵境の図書館へ本を返し、大戸屋にて鶏唐揚丼+わかめそばの夕食。コーヒー飲みながら読む本がなく、文教堂にて堀江敏幸『熊の敷石』(講談社文庫)購入、エクセルシオールカフェにて読む。『タモリ倶楽部』も『虎の門』もないのでさっさと寝よう。

 能登かわいいよ能登

『クイック・ジャパン』最新号立ち読み。漫画特集は通り一遍というか総花的という感想を出ない。この号でスペシャルなのは能登麻美子と本谷有希子の対談。まさかこの2人が同郷で「もとちゃん」「のっちゃん」と呼び合う演劇仲間だったとは知らなんだ。本谷有…

 オタ話の場所

『monoマガジン』を立ち読みしたら、「オタクはデブでも高音早口」こと岡田斗司夫の日記連載が最終回を迎えていた。思えばこの回の話題である岡田とサッカーファンの抗争にしても、すでにネット上では消費されてしまい新鮮なものではなくなっている。リアル…

 クラッシュ篤史

上石神井のブックオフにてサービス券併用2冊110円で購入。 吾妻ひでお『クラッシュ奥さん』第1巻(ぶんか社) 『失踪日記』を読んだ今となっては、作者の置かれた状況を慮らずに読むことができないこの本、ホームレスから帰還〜アル中で入院するまでの間に描…

 空がとってもひくい

天使は降りてこないが雨が降ってきた。杉花粉よりはましだ。武蔵境の書店で吾妻ひでお特集の『COMIC新現実』を探すが売っていない。『失踪日記』も置いていないようだ。ボーイズラヴ系とライトノベルは異様に充実してたりするのに(笑)。エクセルシオール・…