クラッシュ篤史

石神井ブックオフにてサービス券併用2冊110円で購入。
吾妻ひでお『クラッシュ奥さん』第1巻(ぶんか社
失踪日記』を読んだ今となっては、作者の置かれた状況を慮らずに読むことができないこの本、ホームレスから帰還〜アル中で入院するまでの間に描かれた作品が収められている。絵の荒れ具合もさることながら、80年前後の高みはどこへやら、作風が70年代半ばまで退行しているのがもう(泣笑)。それでも天才の片鱗は残っているのがまた哀しい。まさにアルジャーノン状態というか、零落期のジャコ・パストリアスの発掘セッションというか。SF女子高生漫画「まじかるミステリーまおちゃん」なんて、全盛期なら『スクラップ学園』『みだれモコ』系のネタなのに勿体無い。ただ、荒れてはいるもののGペンの太い線には勢いがあり、『失踪日記』の彼岸ぶりよりも気楽に読めるのは確か。まあその気楽さも、吾妻ひでお復活の狼煙が見える今となってはの話だ。
渡辺篤史渡辺篤史のこんな家を建てたい』(講談社
土曜の朝のお楽しみ『渡辺篤史の建もの探訪』(テレビ朝日)の単行本化。執筆や構成にも渡辺自身が深く関わったと思われる。微に入り細に入り、目に入るものみな誉めまくる篤史の声が、紙面から聞こえてくるようだ。音楽やオーディオ、古道具好きな趣味人の顔も披露されているが、小倉智昭的な嫌味を感じさせないのは、渡辺がひたすら家を訪ね、眺め、感嘆の声を発し続けた距離と時間の重みゆえであろう。などと語るような本でもない(笑)。55円なら拾い物。