お茶の水徘徊

展覧会を見た後、水道橋〜お茶の水界隈を歩く。数年ぶりに「いもや」の天丼を食う。エビ・キス・イカ・ノリの天ぷらが載った500円の天丼には、ファストフードにはない「人の食い物」としての実感があった。古本屋や新刊書店もいくつか覗いてみるものの、無数の書籍や雑誌を前に、選ぶことの歓びよりも、選ばなくてはいけないという疲労感が先に押し寄せる。かまやつひろしゴロワーズを吸ったことがあるかい」が頭に流れ出した。中古盤屋も回るが値付けが高い(ていうか普通)。旧譜復刻盤が充実した店を発見。森山良子『日付けのないカレンダー』(76年)が復刻されているのを初めて知ったが購入せず。ディスクユニオン高田渡ヒルトップ・ストリングス・バンド『ヴァーボン・ストリート・ブルース』(77年)購入。バンド名の由来「山の上ホテル」のあるお茶の水で出会ったのも何かの縁か。高岡書店にも久しぶりに寄るが、すいぶん落ち着いた雰囲気に。オタクのリビドーの中心が秋葉原に移ったためだろうか、街全体が昔からの漫画好きがゆっくり本を選べる場所になっていた。古書センタービルに入る。旧ソ連時代からロシア音楽を専門に商ってきた「新世界レコード社」が、いつのまにかチェブラーシカのグッズや同志レーニンのTシャツ、旧ソ連製カメラなども扱うようになっていた。キリル文字の並ぶキッチュなジャケットのCDには、ファンシー好きな若い人も食指が動くのではないか。下にはお宝アイドル誌専門店があり、さらにニューエイジ系の店もありで、何だか中野ブロードウェイ化している。