今日の1枚

 CORNELIUS『Sensuous』(06年)

これほどヘッドホンを外してスピーカーを鳴らすのが待ち遠しかった音楽はそう多くない。冒頭の表題曲、アコースティックギターの爪弾きの一音一音が、異なる定位にそれぞれ配置されているその企み、響きの、オーディオファイル的なクオリティにまず息を飲む…

 岡林信康『1973 PM9:00→1974 AM3:00』(74年)

岡林の、あるいは日本のロックの隠れた傑作ライヴ盤が紙ジャケリマスターで初のCD化。以前、知人から音を聴かせてもらって書いた感想を一部改稿して再掲する(手抜きともいう)。http://www7.ocn.ne.jp/~marron/diary0111-12.html#011220http://www7.ocn.ne.…

 HAT/Tokyo-Frankfurt-New York('96)

吉祥寺RAREにて1600円。発表時にスルーし、気付いた時には入手困難になっていた。今頃になって初めて聴いたのだが、これは素晴らしい。東京の細野晴臣、フランクフルトのアトム・ハート、ニューヨークのテツ・イノウエの3人が音源を往復させつつ作り上げた本…

 空気公団『やさしい朝』(05年)

4人から3人へと数を減らし、最後には2人となって第1期の活動を終えた空気公団の、この3曲入りマキシシングルが第2期最初の録音となる。 1曲目「暮らし」が部屋の空気を揺らす。どっしりと重いドラムに間を取って弾むベース、音数の少ないピアノ、アコーステ…

 風コーラス団『愛色の季節』(75年)

立川の新星堂でたまたま見つけた復刻CD。解説も、発売当時のクレジットも、アーティストの写真すらもなく不親切極まりない。なのでヴォーカルグループなのかバンドなのか、男女混成らしきメンバーの詳細すら不明だが、内容はかなり充実している。*1ヤマハの…

 DANIEL LANOIS/BELLADONNA('05)

音響に独自のセンスを持つプロデューサーにして、フレンチ・カナディアンのルーツに根ざした味のあるシンガーソングライターでもあるダニエル・ラノワ。その新作は、自らは歌うことなく楽器演奏に徹したインストゥルメンタル・アルバムだ。しかも参加メンバ…

 大滝詠一『ナイアガラ・ムーン』(75年→05年リマスター盤)

大滝詠一のセカンドアルバム『ナイアガラ・ムーン』は、一人のシンガーソングライターの作品であるよりも先に、大滝の個人レーベル「ナイアガラ」のお披露目であり*1、はっぴいえんど解散後の最初の成果報告としての意味を持っていた。 その印象は、今回の発…

 矢野顕子『ひとつだけ/the very best of 矢野顕子』(96年)

このベスト盤を実は聴いていなかったのだが、近所のレンタル屋で見つけて借りてきた。これだけは聴きたいと思っていた「気球に乗って」のキャラメル・ママ演奏バージョンがやはり白眉だ。リトル・フィート版に比べるとグルーヴの周期が短く感じるのは、林立…

 SOFT MACHINE/SIX('73)

ライヴ録音を中心にスタジオ録音を加えたこの6枚目では、前作から加入した木管とキーボードのカール・ジェンキンスが作曲家としての才能を全面的に発揮、唯一のオリジナルメンバーであるマイク・ラトリッジの才能と拮抗している。本作を傑作たらしめているの…

 GONG/EXPRESSO II('78)

アレン、スマイス、ヒレッジらヒッピー組が脱退したゴングは、ドラマーのピエール・ムーラン(モエルラン)によって継承され、サイケデリック部分を捨象して超絶ジャズロックバンドと化した。同時期の、やはりドラマーが率いるジャズロックバンドとしてはブ…

 DJAM KARET/NEW DARK AGE('01)

4リズムから成る米国の現役プログレ・インスト・バンド。帯に引かれた『ローリング・ストーン』の評には「ピンク・フロイドの夢風景と、キング・クリムゾンのギザギザした複雑さが交差する」てなことが書かれているが、確かにそう言えないこともない。フロイ…

 KENNY LOGGINS WITH JIM MESSINA/SITTIN' IN('72)

昨日のキリングタイムのライヴが行われた下北沢MONA RECORDSにて購入。復刻輸入盤で1390円は安いと思ったら、初期の3枚をまとめたセットも出ているらしい。 彼等の2枚目のレコードに100円セールで出会って、そのファンキーで多様な音楽性にやられて以来、ロ…

 F.O.E featuring HARUOMI HOSONO with President BPM and SEIKOH ITOH『COME★BACK』(87年)

最近とみに 若いやつらがかわいそうなほど情けない なんでかって それは深夜のスーパー セブンイレブンで しかもウィークエンド 雑誌の立ち読み これは貧乏豊かじゃない 今まさに考えなきゃならないことは老後 問題の年金制度の崩壊 あるいはIBMとかNTT CD、…

  早瀬優香子『躁鬱 SO・UTSU』(86年)

早瀬優香子は石坂啓原作・若松孝二監督の映画『キスより簡単』で主役を演じるなど女優としても活躍した人で、細野晴臣も曲を提供している。私はいやらしくもこの人にメンヘル的な個性を期待していたのだが、本作では「とらえどころのない文学少女」といった…