SOFT MACHINE/SIX('73)

ライヴ録音を中心にスタジオ録音を加えたこの6枚目では、前作から加入した木管とキーボードのカール・ジェンキンスが作曲家としての才能を全面的に発揮、唯一のオリジナルメンバーであるマイク・ラトリッジの才能と拮抗している。本作を傑作たらしめているのはこの緊張したバランスだ。両者の接点であるミニマルな曲展開が大変にクールであり、全く弛緩するところのない異様な覚醒感を放っているのだが、それでも当時は一種のドラッグ・ミュージックとして機能したのだろうか。実際風邪で朦朧とした頭で聴いていると、宙吊りにされるような持続的な浮遊感が味わえる。サックスよりも平坦な音色のオーボエを主に用いるジェンキンズのプレイが、本作の抑制された空気を決定付けている。ラトリッジの歪んだオルガンも健在だが(意識したのはコルトレーンのサックスなのだろうか)、ここではジェンキンスと分け合うエレクトリック・ピアノの存在感が大きい。初期のウェザー・リポートなどにも通じる感触だが、ファンクへの傾倒が感じられないのが英国のジャズロックならではの味わいだろう。主張を抑制して淡々とリフを繰り出すヒュー・ホッパーのベースと、逆に奔放なジョン・マーシャルのドラムによるリズム体も強力。