KENNY LOGGINS WITH JIM MESSINA/SITTIN' IN('72)

昨日のキリングタイムのライヴが行われた下北沢MONA RECORDSにて購入。復刻輸入盤で1390円は安いと思ったら、初期の3枚をまとめたセットも出ているらしい。
彼等の2枚目のレコードに100円セールで出会って、そのファンキーで多様な音楽性にやられて以来、ロギンズ&メッシーナはちょっと気になる存在だ。本作はアーティストの名義にも表れているように、ケニー・ロギンズのソロアルバムをジム・メッシーナがプロデュースする主旨であったようだが、実質的にデュオとしての第1作と言える。ロギンズの豊かな美声と瑞々しいソングライティングの才、メッシーナのロビー・ロバートソンばりのパキパキした音色のギター、やや尖った声と凝った曲展開の組み合わせは実に相性がいい。ただしこのコラボレーションは、ザ・バンドリトル・フィートのようにメンバーの持ち寄った音楽性の予想を超える化学反応といったものではなく、いくつかの音楽要素をパズルのピースのように精緻に嵌め込んだものだ。スティール・ドラムも投入される南国志向や、立体的なホーンセクションの卓越したアレンジ、細心に重ねられたコーラス、"TRILOGY:Lovin' Me"の組曲構成など、これらはジム・メッシーナの理知的なプロデュースの所産なのだろう(時にイエスを連想しさえする)。それを豪快さや渾沌の不足と感じる聴き手もいると思うが、ここには優れたデザインの理想に近い実現がある。アメリカンロックのコンパクトで精巧なモデルにも似た、独特の魅力を私は感じるのだ。(参考:2ndの感想