ぐるぐるまわる

三鷹パレードの狭い通路を塞ぐように蹲って、餓鬼のように段ボール箱のレコードを漁る。カウンターの店主にどこかの営業マンらしき男がしつこく取りついている。レコード盤の上を自走する玩具のようなプレイヤーを売りつけたいらしい。迷惑なことに実演すると言い出し、持参したレコードの上にプレイヤーを走らせるのだが、息も絶え絶えによれよれの音しか出てこない。電池切れだ。もうこの時点で営業は失敗しているのだが、それでもめげずに電池を交換し再度実演を開始。甲高く耳障りな音をふらつかせながら80年代のMTV音楽を奏で始める。こんなちっぽけなモノからそこそこまともな音が!という驚きしかこの種の商品の訴求力はないだろうに、これで約7千円ではいかんともしがたい。だらだらと未練がましく食い下がるも成果を挙げることなく営業マンは退散した。そんなくだらないものはヴィレッジヴァンガードにでも持っていけば、どこかの間抜けが手を出すかもしれないのに。まったく筋の悪い。
……などという余所事のやりとりに苛立たされ、より一層餓鬼然と浅ましい表情で浚い出したレコード8枚2100円。タイトルのみメモ。
STRAWBS/GRAVE NEW WORLD('72)
PETER HAMMILL/IN CAMERA('74)
SEA LEVEL/SAME('77)
THE POLICE/REGATTA DE BLANC('79)
MIKE RUTHERFORD/SMALLCREEP'S DAY('80)
XTC/LIVE & MORE('81)
西岡たかし+泉谷しげる『ともだち始め』(73年)
加藤和彦『BELLE EXCENTRIQUE』(81年)