最近の買い物
西村しのぶ『メディックス』(小学館)
スピリッツ掲載の未完作が15年の歳月を経てついに単行本化。バブルが終わろうが神戸が震災に見舞われようが、まったくその精神性にブレがないのが作者の凄さ。ホントに変わんないなあ。
おがきちか『Landreaall(ランドリオール)』8巻(一迅社)
実社会の波乱に巻き込まれる直前の幕間(モラトリアム)ともいえそうな舞踏会編が楽しい。ロロットのエピソードはずいぶんあっさりと済ませたなあと思ったら、単行本恒例の「Tailpiece」でフォローされていた。この蛇足(?)が毎度とても良いんだけど、今回も例に漏れず。Act.38の扉絵のカップルはしばらく誰だかわからなかった。だから「詰め物が減ってしまった」のね。
今野緒雪『マリア様がみてる 仮面のアクトレス』(集英社コバルト文庫)
この巻は大変素晴らしいです。冒頭から最後まで作者の上手さに唸る。「姉妹制度という自己/他者との出会い」というのは作品の最大のテーマでありドラマなのだから、当然それだけの描写が割かれてしかるべきなのだ。もう小姑みたいな読者ばっかりなのが作者にも作品にも不憫でならない。
米澤穂信『さよなら妖精』(創元推理文庫)
文庫化を機に再読。初読時には扱う素材の重さと「日常の謎ミステリ」という形式とのギャップに戸惑ったのだが、単行本で読める一通りの作品を読み終えた今では、そのギャップこそが作者の狙いなのだと知る。米澤穂信はミステリという形式にも、言葉によって迫りうる(とされる)「現実」にも、それらとの距離の持ち方が極めてデリケートな作家なのだろう。
北村薫『冬のオペラ』(中公文庫)
物語のデウス・エクス・マキーナとしての生を自覚的に生きる名探偵・巫弓彦の、なんと哀しく滑稽で、しかし高貴であることか。成熟したジャンルでは、ジャンルへの自己言及を含まざるをえないので、名探偵が名探偵として生きるのは難しい。「推理小説など存在しない」パラレルワールドで活躍する「最初の名探偵」の物語を誰か書かないか。
森見登美彦『太陽の塔』(新潮文庫)
未読。「解説 本上まなみ」って何だそれ。
連城三紀彦『どこまでも殺されて』(新潮文庫)
ブックオフにて105円。未読。
ヤマグチノボル『グリーングリーン 鐘ノ音ファンタスティック』(角川スニーカー文庫)
ブックオフにて105円。ライトノベルの中でも表現や主題が突出したものではない、標準的な作品を求めて手に取ったのだが、途中まで読んで正しい選択だったのか迷う。