ROBERT PALMER/DON'T EXPLAIN('90)

古書店にて500円で購入。マーヴィン・ゲイの名カヴァーを含むロバート・パーマー90年の作は、全18曲1時間強に及ぶ大作。冒頭は80年代の彼を引き継ぐような歪んだギターリフが唸るロックで、これは外したかと一瞬思ったが、実は白人ロック的な楽曲は数曲で、あとはブルーアイドソウル、アフリカ風、ボッサ、果てはテオ・マセロのプロデュースによる純然たるジャズソングに至るまで、その音楽性の振り幅は無闇に広い。とりとめがないと思われるかもしれないが、音楽の越境/融合を一人で体現するのがロバート・パーマーという人でもあった。とりわけ白人R&B歌手としての彼は魅力的で、白眉と言えるのがマーヴィン・ゲイのメドレー"MERCY MERCY ME/I WANT YOU"の名曲名唱だ。"I WANT YOU"のメロディが流れるだけで鳥肌が立つ私の特異体質のせいかもしれないが、それにしてもこのカヴァーは素晴らしい。1時間という長さを感じることなく、ロバート・パーマーの歌に導かれてさまざまな音楽への旅を楽しめる。