亀の甲羅炎をこじらせて

昼飯を済ませ『ハロモニ』をだらだらと見終えどこかに出かけようと思ったはずが、電気の通じていない炬燵で2時間寝てしまい、結局伊集院光のラジオを聞きながらネットを斜め読みするうちに夕方に。日が落ちてようやく炬燵を脱出、武蔵境に出て自転車の前照灯を修理し、線路を挟んで2軒の書店をハシゴ、大戸屋でデミソースハンバーグ定食の夕食、目の前の学生たちの「〜じゃね?」「〜なくね?」(後方アクセント)という語尾がやたらと癇に障る。ワカモノが憎い微妙なお年頃だ。
飯を食い終えエクセルシオールカフェ田中小実昌『ポロポロ』(河出文庫)読む。戦争という語り得ない巨大な体験をどう語るかという困難に、田中小実昌は挑むでもなくただポロポロと言葉を零すのみ、だがそのポロポロが心に染みる。膨大な情報を浴びながらそれらの全てを疑うことがリテラシーとされ、信ずるに足るものは直接体験しかないというような「インターネット以後の世界」で、触れ得ない圧倒的な現実に触れる手段としての「文学」が必要なのではないか。などと『ポロポロ』読みつつ陳腐なことを考える。伝聞情報への疑惑とわずかな経験的実感を頼んで、イラクで命を落とした若者のことも思い浮かべる。彼の愚かさはそう特別なものでもなかった。