『マリア様がみてる 〜春〜』 最終回「パラソルをさして」

可もなく不可もなく感動もなく、と書こうと思ったんだが不可はある(笑)。
前回とは逆に、キャラクター同志の関わりが足りない。特に瞳子祐巳のやりとりは話を進める段取りにしかなっていないので、この後(後があるのなら)ここを起点とする二人の関係の変化を描くのが大変だろう。ここに限らず、原作では前巻『レイニーブルー』の暗い印象を取り戻すべく楽しい場面が多いのだけれど、もちろん全部カット。まあこの尺では仕方ないとはいえ、逆に言えばこのエピソードだけで正味70分はあるのだから、全話数のバランスの中でクライマックスを見据えて個々の挿話や描写の配分が可能だったはず。それを「シリーズ構成」というのだが、この作品ではそういうものが(役職上はともかく)なかった。それでも演出や作画で光るところがあれば良かったのだが。祐巳との抱擁の前に、立ち上がる気力もなく打ちひしがれたはずの祥子に苦もなく立ち上がらせたのは、ベッドだと妖しく見えるからですかと邪推。おかげで祐巳がフォローすべき祥子の心の弱さ、というこの先(先があるのなら)重要になる要素が描かれなかった。画面を囲む薔薇は笑うところですか。柏木や車を格好良く描くよりも先にやるべきことがあるだろう。エンディングでパラソルを差す紅薔薇姉妹の絵に重ねてサブタイトルが出る演出も、傘の象徴性を描いていなかったので単に寒いだけ。ラストシーンを笑顔の祐巳の台詞「私もお姉さまが大好きです」にしたことは、視聴者に「ああ、結局この子はお姉さまが大好きなだけの子なんだな」と思わせてしまわないだろうか。それだけのアニメではあったのかもしれないが。
とにかく、テレビの前で出来映えに一喜一憂する日々は終わった(笑)。あとは最新刊「特別でないただの一日」の発売を待つばかり。
祥子の「なぜ説明しなかったのか」に関する言い訳をあっさり処理したのは、単に時間がなかったからだろうが良かった。原作でも正直説得力がない部分なので。
追記:そうか! 来週からまた『デカレンジャー』が観られる!(裏番組が観られない特殊な環境なのだ)