柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』1巻(集英社)

谷仮面』も『エアマスター』も好きで全部読んでるのに、単行本を買ったのはこれが初めて。いや別にメイド力に導かれたわけではなく。もはや何者でもなくなった敗残の男が「ハチワンダイバー」という主人公の名前を手に入れるまでに1巻を費やすという構成がすでに燃える。将棋漫画としての具体性はないに等しいが、ゲーム性を描く漫画ではないし(そもそも福本伸行的に、棋譜の展開そのもので読ませるような将棋漫画ってあるのか?)。巨乳メイド真剣師に棋力で負け性的にも負ける、主人公の徹底した負けっぷりはなかなか。彼女を乗り越えることが主人公の動機になるのだが、棋力と愛欲のどっちかで勝ってどっちかで負けるといいんじゃないでしょうか。