ウィリアム・ギブスン連続体

何と私の住まう陋屋に光ファイバーが繋がったそうな。おそらくNTTの執拗な営業攻勢に年老いた大家が屈したのだろう。玄関先でIT用語を交えた怒濤のセールストークに圧倒される老人の姿が目に浮かぶようだ。まあ気が向いたらフレッツ光にしてみるかもしれないが、そもそもあと何年ここに住み続けるのか。もしここを出たとして、再び光回線の繋がった物件に住めるのか。そんな自らの行く末の心許なさが躍如として面目ない(星新一)。しかし何だ、六畳一間の木造アパートに光回線って、これは実にギブスン的、サイバーパンク的な様相ではあるまいか(松本零士のSF四畳半もの的でもある)。そんな21世紀の賃貸の一室で、私はOSXが起動しなくなったPowerBookの青い画面を眺めて途方に暮れていたりするのだった。武蔵野シティの空の色は、OSの落ちたPowerBookの液晶の色だった。みぎゃー。