西武沿線異常なし

自転車にできるだけ長く乗っていたいという謎の意欲を石神井公園散歩では満たしきれなくなり、朝8時頃に多摩湖へ向けて出発。最初の勢いは良かったものの、五日市街道を武蔵境に差し掛かったあたりで気力が萎え、ドトールでコーヒーでも飲んで帰ろうか……と大幅に計画を縮小しかかるも、なるべくものを考えないように努めてペダルを漕ぐうちに多摩湖自転車道入口に到達。以前にもこの道を通って狭山公園まで行ったことがあるので、ゴールが見えるぶん気は楽だ。
人通りもそう多くなく少し速度を出していくつもりが、沿道の百日紅木槿マリーゴールドなど季節の花に目を奪われて減速走行。秋の虫の声を聞きつつ住宅地や畑を抜け、西に近づくにつれ次第にやさぐれていく風景を越えると、西武線の線路の向こうに深い緑が現れる。小山を巡る山道の半ばに自転車を止め、狭山公園に入る。金属製のデッキを登ると行き止まりの展望台に到着。以前と同様工事中で湖岸には降りられなくなっているものの、それでも眼下に広がる多摩湖と小山渓のパノラマを楽しむ。疲労で藁になった足を震わせ公園内に降り、禁止されている釣りを楽しむ人々の前を過ぎ、茫漠と広く鑑賞のポイントに乏しい園内をしばし逍遥。むしろ「縮小・誇張された自然」である石神井公園のほうが風景としての見所が多い。
自転車に戻り、寂れたラブホテルの群れを横目にアップダウンを繰り返す自転車道を終点まで走り抜く。行き交うツーリング車やマウンテンバイクに交じり、車体の重いママチャリでおよそ20kmの道のりを越えてきた酔狂な暇人は私くらいだ。実の無い達成感を味わって帰路に就くも、ここから武蔵大和駅までの上り坂が道中もっとも過酷で、唯一ダンシング(立ち漕ぎのこと。『シャカリキ!』で覚えた)を余儀なくされたのがここだった。駅前に辿り着くや空腹に耐えられず、コンビニでパンを買い貪り食う。こんなに美味いコンビニパンを食ったのは初めて!
帰り道、逆に走る多摩湖自転車道の10数kmは実に快適だった。帰宅までに40km近くの距離を走ったことになる。ツーリング車なら苦でもない距離なのだろうが、むしろママチャリのペダルにかかる負荷の大きさが、運動量としては適切なのかも。ムラムラしたらまた行こう。