OH すべての事はもう一度行なわれてる

ミュージックマガジン』のムーンライダーズ特集を読む。熱心なファンには評判が悪いようなのでどんなものかと思ったが、別に腹が立つということはなかった。というか、腹が立つところまで読み込む前に、活字を目で追うのに疲れてしまった。モニター上なら改行もなく行間も狭く限りなく続く長文を吐き気がするまで読める私なのに。そんなことをしてるから雑誌が読めなくなるのか。
ライター陣のほとんどが同世代以下の年代なのも、この特集に反応が薄い理由の一つ。かつて『マガジン』は自分の知らない知識と経験を持つお兄さんの雑誌で、そこに敬意も反発もあった。今回の特集では(ことライダーズに関しては)似たような体験と資料的知識を書き手と読者が共有しており、その記事はネット上の無数のテキストと同一線上に並んでいる。自分と見解が違っても「そういう見方もあるのね(私は違うけどね)」、歴史に誤りや抜けがあっても「まあ正しいデータは他所にあるだろうからいいか」と、その重要性は相対的に低くなる。実売部数や店頭販売期間を超えた影響力を持ちにくい雑誌記事に対し、リファレンスとしての厳密さを求める気になれないというのもある(むしろアップしたら最後、書いた本人が削除しても残り続け、何度でも検証されるネット上のログのほうが参照度は高いかもしれない)。あるいは単に「音楽をめぐる言葉」に飽いているのだろう。