ビールは飲まなかったけど

歌彩〜vol.16〜
2006年5月4日 恵比寿switch
出演:齋藤紗希子/吉田佳奈子/宮崎陽子
宮崎陽子さん出演のライヴを観に恵比寿へ。ガーデンプレイスを通り抜け、サッポロビールを過ぎた静かな路地のライヴハウスは思いのほか広く落ち着いた雰囲気。
最初に登場したのは宮崎陽子さん。さっきまで話していたままのカジュアルな姿でピアノの前に座っても、椅子を調整し鍵盤を拭くうちに、ミュージシャンの貌に変わっていく。宮崎さんの歌はとても端正だ。フェイクに逃げず情感に流れず、伸びやかな美声で歌のかたちを忠実に描き出していく。弾き語りのシンプルさを補うように多彩なフレーズを組み立てていくピアノも、抑制と構成力を感じさせる。普段の豪快さとは趣を異にする繊細な表現(微妙に失礼)。
次に登場した吉田佳奈子さんは、バンドとコーラスを従えての登場。このバンドが相当に上手い(特にギター)。アマチュアには珍しく、歌手とバックバンドという関係性が強く匂う。これだけのメンバーが友達同士で揃うとは思えず、メンバーは募集で集めたのだろうか。人懐っこい歌声と曲に完成度の高いバッキングが重なり、とても安定感があった。
最後に登場した齋藤紗希子さんは、豊かな声量といい、コード感にジャズのセンスが漂うピアノといい、あえて決めすぎない余裕といい、なかなかの逸材なのではないかしら。かつてのヤマハ的/ポプコン的なバックアップシステムがあればほどなく浮上しそう。
ライヴ終了後は会場で陽子さんやそのお友達や山下スキルさんとまったり。演じる側と聴く側が小さなサークルを作り、ともに音楽を育てていくような親密さは、楽しくもあり時に息苦しくもあり。CD物販で客が歌手に握手を求めてるのは驚いた。どこの秋葉原だと思ったよ。