Brasilian Music Wedding Party

友人のドミンゴさんとあゆみさんの結婚披露パーティに出席するため、電車を乗り継ぎ鶴見という街で初めて降りる。場所は昭和の匂いの濃い歓楽街のブラジル料理店。鶴見には工場で働くブラジル人のコミュニティがあるらしい。出入口やトイレの張り紙もポルトガル語だ。この場所のディープさに、音楽を入口にブラジルの文化や生活感にまで入り込んだ、夫婦の本格的な傾倒ぶりが窺える。
なにせ出不精なので今年初めて出会う人多数。普段着の寛いだ雰囲気の中でブラジルの酒や料理(美味い!量が多い!)を摘むうち、純白のドレスに身を包んだ花嫁と、純白の細身スーツと帽子に黒シャツ赤ネクタイで決めた新郎が登場。初めての共同作業はケーキ入刀ではなく、白いダルマへの目入れ。新婦が回す赤い番傘の上で、新郎が白いダルマをくるくる踊らせる。いつもより多く回っております。なかなかもってやることが粋だ。
さて、パーティの主菜は料理もさることながら、音楽。DJのWille Whopperさんが会場を徐々にブラジル色(カナリア色?)に染めていく中、最初に舞台に上がったのはフォホーを演奏するバンドの「フォホー・レガウ」。私はブラジル音楽を良く知らないので調べながら書くのだが、フォホーとはブラジル北東部(いわゆるノルデスチ)のギター・アコーディオン・打楽器を用いた大衆音楽であるらしい。優しい声の男性ヴォーカルと柔らかな楽器の響き、幅の広いグルーヴにほぐされた体がゆらゆらと揺れ始め、やがて会場は新郎新婦をはじめカップルのためのダンスフロアに。さらにほとんど全員が電車繋ぎの輪になって、ランバダに合わせて会場をぐるぐる。酒も回って頭もぐるぐる。検索していて気づいたが、フォホーに合わせてパンデイロやトライアングル(トリアングロ)の妙技をにこやかに披露していたおじさんは、中南米音楽の権威ケペル木村さんですよね?
続いて、女の子3人組のダンスチーム「Clube da paixao」が健康美を見せる鮮やかな衣装で登場。彼女らが踊る「アシェー」というのは、アフリカ起源の宗教に由来する祝祭性豊かなダンス音楽。とはいえ、ノリはクラブミュージックというかジュリアナ(?)というか、やっぱり一緒に踊るしかないカジュアルなもの。黒のパーカーに腰履きのパンツでお腹を出して踊る新婦がキュート! ダンサー3人のうち誰が好みか、なんて下世話な話でも盛り上がる。私の趣味はえらい勢いで却下。なぜだ。
そしてクライマックスを飾るのは、注目のDJ露骨キットさんによるバイリファンキ大会。バイリファンキもここで初めて聴いたが、ブラジルの最新型フロアミュージックで、伝統音楽もあるのだろうがバングラやレゲエなどの影響も感じられる。その機能性はまさに強力で、これまた踊らずにはいられない。こんなフィジカルな披露宴は初めて! 大盛り上がりでパーティが終了した後、DJな人たちがブースを囲んでいたのもむべなるかな。
飾らない新郎新婦の、シャイだがやるときはやるの企画力、エンタテイメント精神、友情の暖かさ、ブラジル文化の奥深さに感じ入った素敵な夜でした。料理もはちきれんばかりに食べたし(フェイジョアーダはいつか作ってみたい)。お二人ともお幸せに! お土産のブラジル産チョコのように甘い新婚の日々を!