クラッシュ

五日市街道を自転車で走行中、鈍い金属音とともに挙動がおかしくなった。見ると、後輪のスポークが数本折れており、張力のバランスが崩れてリムが大きく歪んでいる。すぐ先の自転車屋に修理費の見積もりを尋ねるが、具体的な額を答えようとはしない。私の生活にとって自転車は最重要ツールなので修理しないわけにはいかないが、8千円で買った自転車の修理代として妥当な額というものがある。ここでの修理は止め、騙し騙し転がしながら吉祥寺のドトールへ。コーヒーチケットの残りもあと1枚。朝刊と夕刊を読み終えて店を出、つるかめランドでお買い物。そう、つるかめランドに通うにも自転車は不可欠なのだ。明日武蔵境イトーヨーカ堂の修理屋に持って行こう。それにしても自転車修理という目先の問題のおかげで、「漠然とした人生の不安」などという益体もないものから逃れられるのはありがたい。日々発生する小さな未解決の課題に紛れて、人は無為のなかで自分の影と直面することから免れる。人生は自転車操業だ。