バスにのらずにお茶の時間

図書館で借りた2冊。
星野智幸『在日ヲロシヤ人の悲劇』(講談社
田中小実昌『バスにのって』(青土社
後者をドトールで読みながら、成増行きのバスに乗り込みたくて仕方なかった。おそらく吉祥寺から最も遠くまで行く路線バスで、いつか乗ってみたいと思いつつ、何の目的もなしにバス乗車そのものを楽しむことに罪悪感を覚えてしまうのだ。
久しぶりにディスクユニオンに寄り、中川イサト『お茶の時間』(73年)復刻盤を購入。いつになく大量の割引券を貰ったが、iTMS上陸にリアル店舗も圧迫を感じているのだろうか。
帰ってCDをiBookに入れる。アコギ弾き語りと言えば雑駁に「フォーク」と呼ばれた時代に、細野晴臣や駒沢裕城のサポートを得てブルースやトラッド、カントリーに迫る。すでに達人級のギターが海外からの響きを伝え、それとは裏腹な朴訥な歌が、大阪や吉祥寺の路地裏の日常を紡ぐ。街角の喫茶店でお茶を飲みながら、流れるカントリーミュージックに耳を傾ける、そんな70年代の空気が封じ込められたアルバム。風街の匂いがする素敵な詩を書いたkintaという人は何者だろう。米国百姓音楽研究会の浪速岸之助・野間武麗九とは一体?(村上律か松田幸一あたり?)