ロックンロール・ダイナー

下北沢ラ・カーニャで行われた、かものはしばしさん(id:kamokamo)さん企画主催のイベント「ロックンロール・ダイナー」に参加。DON NIXの自伝的スワンプ・ロック本"ROAD STORIES AND RECIPES"に記された、ミュージシャンの得意料理のレシピを再現するとともに、そのミュージシャンの音楽と、彼の地の音楽に魅せられた我が地のミュージシャンのライヴを楽しもうというもの。選ばれたのはジョン・ハイアットのレシピによる「セネガル風ベジタブル・シチュー with ライス」とジミー・ジョンソンのレシピによる「マッスル・ショールズ・スタジオ名物のツナ・サラダ」添。
ほとんど一発ネタのようでもあるこのイベントの成否は、ひとえにレシピを再現する料理人の腕にかかっていたと言っていい。そのシェフは、映画評論家にして「天皇の料理番」の曾孫弟子に当たるという大林千茱萸さん。私はその料理の仕込みの手伝いとして動員されたのだが、実際には全ての過程を大林さんが4時間かけて完了され、私は料理の搬入と配膳、片付けの手伝いのみ。大した働きもせずタダ飯と音楽の御相伴に与ってしまった。で、この料理が抜群だったのだ。大量のカイエンペッパーとピーナツバターという「アクセル踏みながらブレーキ踏む」ような組み合わせを、日本人の舌に合わせてアレンジするセンスのおかげで、シチューは大変に複雑にして美味でありました。ツナサラダはオリーヴとツナの取り合わせが絶品。これだけで元は取れたと思いましたよ。いや、私は払ってないんですが。
もちろん食べるばかりではなく、ジミー・ジョンソンが所属した今はなきマッスル・ショールズ・スタジオゆかりの名盤群を楽しむ前半部と、ジョン・ハイアットの勇姿とJ・J・ケイルやジェリー・ゴーフィンらのレアな映像を鑑賞する後半部では、はしばしさんと長門芳郎さんが生き字引ぶりを披露、音楽の楽しさを伝える。そして間に挟まれたライヴパートでは、ドリームズヴィルがアルバムを配給しているブルースマン・田中良が、ミシシッピ川で洗ったような激渋のしわがれ声と、ドブロを泣かせまくるスライドギター、10本の指が鍵盤の上でロックしロールするピアノを会場に響かせた。実に贅沢な時間。はしばしさん、大林さん、長門さん、参加された皆さん、お疲れさまでした。20日のイベントもよろしくお願いします(↑上記告知参照)。