朝靄

朝6時前に家を出ると、前日の雨でたっぷり大気に含まれた水分が、氷の皮膜となって自転車のサドルに張り付いていた。尻を冷やしつついつもの石神井公園まで。早起きのパン屋で買ったクリームパンと小倉あんパンを袋から取り出す。窯から出したばかりの薄くパリパリの皮に歯を立てると、熱く甘いカスタードクリームやつぶあんが口腔に溢れ出し舌の上で溶ける。ラララ美味しいよラララ。腹が満ち、水面に靄の立ち込める池の周りを歩く。ウッドデッキと靴の間で水分が凍り付き、足が離れるたびに粘るのが面白い。霜に覆われた枯葉を踏み締めるのと2種類の感覚を楽しむ。鴨はどれだけ眺めても飽きないね。ハシビロガモの首の渋い緑に痺れ。3つある社の前で柏手を打つ。何を願うというものでもなく。