『仮面ライダー響鬼』二之巻「咆える蜘蛛」

70年代の日本映画やNHK少年ドラマシリーズ』を思わせる演出のセンスは、初回ほど露骨ではないものの維持されている。ヒーローのヒビキは謎の敵を追い求める探索者であるらしく。思えば本郷猛は科学者、一文字隼人はカメラマンであったように、敵の存在に対する「観察者」「探究者」の視点が「石森ライダー」にはあった。ヒビキをサポートする人間が「立花」、サポート組織が「猛士(たけし)」であるのと同様、これも原点回帰の一端かもしれない。ところでライダーシリーズ近作は「カードバトル」という玩具の要請により相当奇妙な物語展開を余儀なくされたが、それを言うなら『響鬼』の「音ゲー」という縛りはさらに酷い。しかしそのあんまりな注文を「響鬼」という命名、音叉の共鳴による変身、金属ディスクからの情報収集、そして太鼓による音響攻撃(音撃)と、一貫性のあるコンセプトに仕立てたのは大したものだ。等身大の怪人バトルという形式を外れ、等身大のライダーと巨大モンスターの戦いというイメージは非常に新鮮。とはいえ巨大蜘蛛の背中に太鼓の打面を据え付け、バチで叩き振動を与えて相手を破壊するという攻撃に、テレビの前で「ウソダドンドコドーン!」と叫んだのは私だけではあるまい。いやー面白すぎる。