『仮面ライダー響鬼』一之巻「響く鬼」

朝帰りの眠い目を擦りつつ観たのだが、ちょっと目が覚めるくらいに意欲的な滑り出しではあった。学校へと出かける少年の朝を、音楽に合わせて細かいカットを重ね、さらには脈絡なくミュージカル仕立てに描いた冒頭部分。その後もトリッキーな構図の連続、カット変わりの黒味挿入と、これは70年代のATGですか?と言いたい飛ばしっぷりに頬が緩む。
屋久島行きの船上で少年が出会う謎の男。そして屋久島で男が出会った謎の敵、そして変身。響鬼(きょうき、ではなく「ひびき」)という命名の和風味に加え、敵は蜘蛛の糸を操る文字通りの「土蜘蛛」風。まつろわぬ民か。佐々木守脚本『アイアンキング』か。そういえば飄々とした風来坊風の主人公の造型も『アイアンキング』の浜田光夫石橋正次のミックスという感じ。スタッフが意識したものでもあるまいが。
正直、平成仮面ライダーは物語を主導しようとする複数の人物が価値観をぶつけあう物語の在り方が、まあ今風だよなあで終わっていたのだが、今回は単独ヒーロー、しかも「少年」に対置される「大人」ということで、真正面からヒーローを描こうとしているのではないかと期待される。願わくばもう少しアクション描写にカタルシスがあるといいのだが。