『マシュマロ通信』第43話「マシュマロタウンの休日」

骨董屋でタコのぬいぐるみを見つけたシナモン。占い好きの彼女にとって、タコは王子様と出会えるラッキーアイテムだ。時同じくしてクラウドは、カラフルな街の中で全身白黒の王子様に出会う。彼、エドワード王子は往年の白黒映画『マシュマロタウンの休日』の登場人物で、失われたラストシーンで出会うはずの恋人エリスを探しにスクリーンから抜け出していたのだ。そして偶然にもシナモンは、その映画の主演女優そっくりだった。
まったく1週間遅れで観るもんじゃないね。ああオチを知らずに観たかったよ……。『ローマの休日』とみせかけて実は、ウディ・アレンカイロの紫のバラ』が元ネタ。映画好きの孤独なヒロインと、白黒映画から抜け出してきたヒーローのロマンスを描いているこの映画、封切り時に1回観たきりなので細部を忘れているが、カラーの現実世界にやってきた映画の人物が白黒でフィルム傷の雨が走っているというのは『マシュマロ』独自のアイデアだと思う。これに限らず今回は演出と美術が冴えていて、骨董屋や廃業した映画館のディテール、街灯りが雪に映えるマシュマロタウンの夕景〜夜景、雪をかきながらフレームインするバジルなどなど見所多数。映画館のロビーを歩くシナモンにカメラが付いて移動するカットとかちょっと驚いた。人物の演技も細かいし。……で、ここまで手間をかけてオチがアレというのはある意味ストイックというかドライというか。「クソッ、恥も外聞もなく意表をつくぞ」(吾妻ひでお)的な潔さ。それにしても真冬にホットパンツにミニスカとは、マシュマロタウンの女子は元気だね。このフトモモめ! このやわらか大王!