ピンク・フロイドのライヴ

NHK-FMで放送中の「ピンク・フロイド ライヴ」を聴きながらまったり。フロイドには思い入れがないのだが、オーケストラや混声コーラスと共演しての「原子心母」生演奏には、70年代の濃厚な空気感がある。後にこうした試みは事大主義と否定されるのだけれど、「音楽性の拡大」がそのまま「編成の拡大」「器材の拡大」にならざるを得ない技術的な状況があったのは事実だろう。現在の音楽家がラップトップパソコンとの共演で軽やかに実現してしまう程度の冒険も、大きな資本力の支えがなければ不可能なことではあったのだ。それはそれとして、フロイドの音楽を昔聴いた時は単なるブルースロックであるように思えて、クリムゾンやイエスより面白みのないものに聴こえたのだが、おやじになってみればこの緩さの中に味わいを発見できる。などと干しいもを何度も噛み締めながら思うのでした。