キーワード「プラネテス」で

飛んでくる人が非常に多いのに何も感想がないのが申し訳なく。とりあえず何か書いておこう。
原作『プラネテス』は主人公ハチに集約する形で「個人と宇宙との関係」を描いていたが、それはそのまま「人類と宇宙との関係」という主題を表してもいた。その一点で『プラネテス』はSFとの接点を持ち得ていたのだと思う。ただしそれは思いきった省略が可能な漫画ならではの描き方で、2クールのテレビシリーズでは周囲の状況も丸ごと描かなくてはドラマとして成立しない。従ってアニメ『プラネテス』ではハチ及びデブリ屋に限定された視点を広げ、宇宙を職場とする職業人の群像劇とした結果、個人=人類が宇宙と向き合うのではなく、宇宙を背景にして人間同士の関係を描くドラマへと主題が移行している。確か谷口監督が放送開始前のインタビューで「SFにはしない」と宣言していたのは、そういうことなのだろう。それはそれでいいのだが、私が期待していたものとは微妙に違う。原作エピソードの「ロケットのある風景」は非常によく出来ていたけれど、だから毎週必ず観たいかといえばそうでもない。別に原作厨でもSF原理主義者でもないのだが。