ジャスコ文明のかげでは

昔、池袋の地下街に「スナックランド」と名付けられた一角があった。当時はまだ珍しいエスニック料理の屋台が並び、設けられた席にはアジア系の外国人が多く見られた。安い値段の割には旨かったので、私も池袋に行くたびに立ち寄った。外国人、学生、サラリーマン、ニコヨン、失業者が集うスナックランドは、一種のアジールであった。ア・ジーーーーーール!!! <デビルマン風に叫んでみた 
ある日、スナックランドは突然なくなった。今ほど多くなかった外国人がたむろする風景が目障りだったのかもしれない。新宿地下道にホームレス除けのオブジェを置くのと同じ発想だ。だが、スナックランドは今やいたるところに遍在している。アジア人はどこにでもおり、エスニック料理店は林立し、デフレは進行し、外食産業はジャンク化した。このような都市状況を「ファスト風土」ならぬ、「スナックランド現象」と私は呼びたい。呼んで、そこそこの都市論ブームに乗っかってそこそこに受けたい。そんな高い志で投じた一石は、何の波紋も広げずに沼の底に沈んでいくのであった。