THE SOFT MACHINE/SAME('68)

古書店にて1200円で購入。
カンタベリーミュージックの創始者・ソフトマシーンの記念すべきデビュー作(2ndアルバムまではバンド名にTHEが付いている)。私は3rdで頂点を極めるジャズロックバンドとしてのソフツが好きなので、サイケ時代のこの1stはスルーしていたのだが愚かだった。ソフトマシーンは最初から素晴らしい。
確かに後年の息詰まるインタープレイや構築美*1は望むべくもない。そのぶん、楽曲の構造がR&Bやロック/ポップス寄りの歌ものでシンプルなだけに、ジャズを吸収したテクニシャンのメンバーが自由奔放に音楽の翼を広げており、その風通しの良さが心地良い。ロバート・ワイアットのドラムとマイク・ラトリッジのオルガンはもちろんのこと、ケヴィン・エアーズのベースが意外な健闘ぶり。ワイアットとエアーズのドタバタしたR&B風のリズムや、オリジナリティを確立する以前のラトリッジのサイケなオルガンは、時代の刻印を深く残しているが、それが現在の耳で聴くとリアルでありヒップなのだ。ここには60年代末のスゥインギング・ロンドンの高揚感が全編に詰まっている。
当時はローディーだったというヒュー・ホッパーが、メンバーでないにも関わらず作曲面で大きく貢献しており、後のカンタベリー・シーンの緩やかな広がりを思い起こさせる。そのホッパー作の"A CERTAIN KIND"は、狂躁を鎮めるようなワイアットの歌唱と相俟って心に染み込んでくる佳曲だ。

*1:誤変換で「恋う乳首」と出たよ。潜在意識だだ漏れ。