若山弦蔵のバックグラウンドミュージック

日曜の昼、伊集院光の番組が始まる前に何となく聞いている。ベテラン声優の渋い喋りとイージーリスニングを楽しむ、というといかにも年輩者向けのようだが、番組で流れるイージーリスニング音楽にはどの曲にも、ジャズとフィリーソウルやディスコインストを繋ぐようなスゥインギーなグルーヴがあって、とても気持ち良く聴ける。今でこそ大御所としか呼びようがない若山弦蔵にしても、番組が開始された60年代半ばには、時代のエレガンスや洒落っ気を象徴するような存在だったのだろう。何といってもショーン・コネリー=007なのだ。時代が一回り二回りした今、この長寿番組は開始時のお洒落具合を甦らせて、大変お洒落なことになっているのではないか。レディメイド関係の人が目を付けた瞬間にそっち方面でブレイクしたりなんかしてからに。
などと思いつつセットリストがないかと番組サイトを見てみたら、選曲を担当しているのはハイファイ・レコードの大江田信氏ではないか。なーんだ。にしても、日曜日のお昼の長寿番組が、人知れず新しい視点を導入しながら新鮮さを保っているというのはなかなか大したことだなあと思った。
で、そのまま伊集院のラジオを最後まで聞く頃には、日曜の午後の陽もすっかり傾いているのだった。