諸星大二郎『燕見鬼 諸怪志異(四)』(双葉社)

宋代の中国を舞台に繰り広げられる怪異と道術合戦を描くシリーズの、本書は6年ぶりの新刊。99年の『漫画アクション』掲載ということは、休刊→エロ雑誌化という同誌の迷走に巻き込まれての空白なのだろう。本刊には書き下ろしも含まれているものの、物語は完結していない。せっかく単行本が出たのだから、アクション本誌で少しずつでも続けてくれないものか。話はもう普通に面白いけど、奇想の展開としては少し地味。絵にもう少し執着してほしい気もするが、それでも他の漫画とまったく互換性のない諸星タッチの魅力はある。世の漫画家の絵がみんな諸星調だったら、トレス問題とか起こりようもないな……。あっ、そういえば諸星先生、『失楽園』で東西の名画の構図をそのまま使ってますよ! パクリですよ委員長!(……)