『かみちゅ!』第12回「ちいさな一歩で」

バレンタインデー、意を決し健児にチョコを渡して告白しようとするゆりえだが、そのチョコを家に忘れてきてしまう。ゆりえの恋を成就させようと、光恵・祀をはじめ女子全員がサポート。神様で中学生の恋の行方やいかに。
おお、ちゃんと「テレビアニメの最終回」になっているじゃないか。DVDにはテレビ未放映のエピソードが入ると知り、ビデオ販促アニメにとっては今回も「とりあえず地上波放映最後の回」でしかないのだろうと思っていたが。たまたま神様になってしまった普通の中学生の恋物語にきっちりと決着を用意してくれたことで、作品とスタッフへの好感度は大きく上昇した。学園もののクライマックスに神通力の奇跡を重ねた祝祭的な幸福感は『かみちゅ!』の真骨頂だろう。
世界の存亡に関わる物語を語ろうとして失敗し、逆に普通の人々の力の抜けた生活描写に成果を示した『R.O.D -THE TV-』のスタッフが、その限界と可能性を見極めたところに『かみちゅ!』の成功はあるといっていい。立派なテーマや起伏ある物語が存在しなくても「作品」を成立させることができると示したことが、この作品の最大の美点だろう。「女子中学生が好きー!」というフェティッシュな動機ですら、突き詰めれば突き詰めただけの結果が生まれるのだ(その点で、火星人VS自衛隊の話と戦艦大和の話は、作品の世界観に過剰な意味を持ち込んでしまうぶん余計だったと思う)。1クールの短期決戦というのも功を奏したのだろう。キャラクターの表情や演技に「決め」を作らず、動作の一過程として描く演出と作画のリアリズムには、ギャルゲーのイベント画像を移植したような「萌えアニメ」とは違う「アニメーション」の快感があった。つーか作り手のフェチのレベルが異常に高かったというだけのことかもしれないが。あー、未放映分もなんとかして観たい。DVDプレイヤー持ってないけど。