『仮面ライダー響鬼』二十四之巻「燃える紅」

ヒビキさんの制止を振りきり、泥田坊相手に烈雷を振るい失敗したトドロキ。ドラムを叩けない鬱憤でバイトが手につかない明日夢。そんな落ち込み中の二人に、ヒビキさんも太鼓以外の楽器修行をさせられたと話す立花姉妹。君らシンクロ率高すぎ。「回り道も後々役に立つ」という穏当な教訓にとどめ、修行の具体的な実効性を説くなどの理に落とさないのが『響鬼』らしい。「少年もお疲れか?」「落ち込むやつは成長するんだよ」など、理屈よりも経験と感覚に基づいたヒビキさんの洞察力も含めて、流れと描写で説得する作劇であり演出なのだ。戦う男たちを気遣う立花姉妹の古風な女性像も魅力的に描けていた。
今回が響鬼のパワーアップ形態「響鬼紅」の初登場とあって、アクション演出にも気合いが漲る。響鬼威吹鬼轟鬼の、音撃鼓と音撃棒を用いての魔化魍集団に対する戦いは、時代劇の大殺陣そのもので東映の伝統を感じさせた。響鬼紅のデザインは戦隊レッドふうの微妙な印象だが、その荒唐無稽なまでの圧倒的な強さに笑いながら許せてしまう。先輩風を吹かせるヒビキさんの可愛さ、「たちばな」でのプチ修羅場における明日夢の朴念仁ぶりなど、今回も楽しいばかりで過ぎる30分でした。