カサハラテツロー『RIDE BACK』1〜4巻(小学館IKKIコミックス)

漫画喫茶で読んで、購入しようか迷っているところ。グローバルな軍事共同体が支配する近未来、バレリーナとして挫折した少女が大学で「ライドバック」(人を乗せたままロボットに変型するバイク様のマシン)に出会い乗り手の才能を開花、やがて学生運動の「イコン」として祭り上げられていく。「メカと美少女」というオタク文化の定型をなぞるように見えて、曽田正人描く天才の成長物語と押井守のポリティカル・フィクションが出会ったような趣の世界観は、既存のものの組み合わせにもかかわらず新鮮だ。押井守士郎正宗描く「公安側の正義」に抵抗を感じ、かといって大友克洋AKIRA』のような「反逆者の自由」にも今更同調できない私のような読者には、「メカと美少女」というフェティッシュな皮膚感覚にも立脚しているのだろう「現場視点」「当事者性」が好ましく思える。半ば巻き込まれ、半ば意志で状況に身を投じる「戦うヒロイン」の姿は、海外コミック風の細密な絵柄や「メカと美少女」というモチーフともども宮崎駿の遺伝子を感じさせるところだ。と、ここまで書いたらそのうち単行本も買うでしょう。