武蔵野と杉並のあいだ

武蔵野市と杉並区の境界線の上を自転車で走る。草生い茂る仙川上水を別れ、生垣や木々の緑に縁取られた狭い道沿いの家並には、文化住宅と呼ぶのが相応しいレトロモダンな作りも散見される。球音響くグラウンドや昭和風の商店街を抜け、やがて東京女子大学のキャンパスに至る。そんな、いかにも東京西郊らしい小市民生活の緩やかな空気漂う小径の傍らには、「来世研究会」の看板が掲げられた某大御所俳優の事務所兼邸宅も聳えているのだった。死んでないけどおどろいた。武蔵野と杉並のあいだ、それは此岸と彼岸とを分ける境界線でもあるのかもしれない。