『ハチミツとクローバー』chapter1

画面から原作への敬意と愛情は充分に伝わってくるだけに、文句を付けたら罰が当たりそうなものだが、どうしても違和感が拭えない。初期ハチクロの「女子が想像する男子グルーヴの楽しさ」は連載初期のラフで雑然とした画面にこそ似つかわしいもので、現在のシリアスタッチを基本にしたアニメ版のキャラクターデザインと、色彩こそ淡いものの整然とした背景/レイアウトの中で初期のコメディをやろうとしても今一つノリがなく、結果ドラマCDめいた声優芝居の過剰さばかりが浮き上がってしまう。カサヰケンイチ監督はもっとハメを外したギャグ演出が出来る人なのだけれど、リアルな芝居への志向と原作尊重が枷になっているのだろうか。むしろギャグ部分で暴走したほうが、原作のシリアスなドラマ部分も生きてくると思う。スピッツスガシカオの楽曲を挿入歌として毎回使えるというのは贅沢なことではあるのだが、30分のアニメでは構成と演出の制限になりそうな気もする。と、文句は言ったが期待には充分に応える初回だったので、これからも楽しみに観続ける所存であります。今ビデオで2回目観た(笑)。