花冷え

眠れないまま朝の5時半に家を出て、石神井公園へと自転車を漕ぐ。知らない間に桜はずいぶんと痩せてしまった。雨に濡れた車のフロントガラス一面に、桜の花びらが貼り付いている。薄いウインドブレーカーを通して予想外の寒さが染み込んでくるが、引き返すのも面倒だ。火曜日が公園近くのパン屋の定休日であることをようやく学習し、武蔵関の松屋豚めしを食らって再び走り出す。公園に着いてみると池面には桜の花びらばかりでなく、花見客の残したビニール袋がところどころ浮いている。花筏どころではない、とんだ興醒めだ。花見というのは風流心とは縁がないのだろう。むしろ様々な花を楽しめるのはこれからだ。ミツガシワ、オオイヌノフグリタチツボスミレカキツバタユキヤナギレンギョウ。水辺観察園からはみ出したシャガが、あちこちで薄紫の花を揺らしている。まだ数羽が残っているハシビロガモカルガモは、いつまでここに居座るのだろう。ボウリングのピンのようにじっと動かないゴイサギが1羽、しばらく眺めていたが、残念ながら羽を広げ飛び立つ姿は見られず。帰る頃には寒さもいくぶん弛んだような気がした。