『仮面ライダー響鬼』十一之巻「呑み込む壁」

あからさまにCGな桜を背に(この人工性は作品のビジュアルコンセプトだろう)高校初登校を迎えた明日夢。帰りにもっちーから「たちばな」に誘われるが、卑近な悪にすら立ち向かえなかった自分の腑甲斐無さに、ヒビキさんに会わせる顔がないと断ってしまう。こういう心情の連続性が維持されているのは本来当たり前なんだけど、明日夢の成長を堅実に追っていこうとする志が窺えて心強い。忍者屋敷さながら「たちばな」の隠し部屋をひっくり返して、魔化魍の資料に当たる猛士たち。地方の協力者の報告を受けて、魔化魍退治に栃木へと向かうヒビキさん。この栃木の猛士一家の、兼業農家核家族といった風情の自然さが(役者ではなく素人かと思ったほど)、この世界の厚みを感じさせる。猛士一家の幼い子供と遊ぶヒビキさん。「お兄ちゃん」と呼ばれて「お兄ちゃん?おじさんでいいんだよ」と笑顔で答えるヒビキさん。うわー格好ええー。私もこんな大人に(ry
一方、吸血鬼ハンターDみたいな謎の男に導かれ、鎧を纏い強化された姫と童子。完全にホラーな演出が、初期仮面ライダーの本気の怖さを思わせる。和風な世界観にあってこの謎の男だけ西洋風な出立ちなのは、出自の異質さを物語る伏線なのか。必殺の火炎攻撃を跳ね返されて苦戦し、谷底へと転げ落ちていく響鬼。片や「たちばな」のどんでん返しから秘密の通路を滑り落ちていく明日夢。両者を交互に映し出すコミカルな編集で引きとする演出が、戦いの恐怖と緊張から視聴者を気持ち良く解放し、次回への期待に繋げる。サブタイトルに仕込んだ冗談といいもう余裕。
今回、ディスクアニマルの開発者にしてヒビキさんの幼馴染みの女性・みどりさんが登場。美貌と才能に加えドジっ子属性まで備えた彼女を梅宮万紗子が好演。女優のキャスティングに全く隙がない。なさすぎる。みどりさんの口から語られるヒビキさんの過去、もっちーとあきらの初対決(違う)、響鬼魔化魍への逆襲と次回も見逃せません。