『仮面ライダー響鬼』九之巻「蠢く邪心」

山隠りで鍛えた甲斐あって、童子と蟻の魔化魍を新必殺技で易々と撃破するヒビキさん。活動を無気味に活発化させている未知の魔化魍を追うイブキさんとあきら。その一方で明日夢は寝坊でグループデートをすっぽかし、街では万引き騒ぎに巻き込まれ、さらに万引き犯人の不良に逆恨みで絡まれいいことなし。現実の悪は遥かに矮小で、しかしその悪意は執拗で質が悪い。「ヒビキさんと出会って何かが変わり始めた」というナレーションとは裏腹に、ヒーローと知り合いになっても自分は非力なままという現実を、嫌というほど味わわされる明日夢。いやなかなかにシビアな成長劇です。ヒビキさんの新技「一気火勢」はちょっと見た目のインパクトに欠ける。一打一打の威力を実感させるような演出のケレンが欲しい。変身前の生身アクションは旧ライダー的で格好良かった。魔化魍の力の増大と、猛士たちの裏をかく「悪意」の存在が示唆されるなど、今後の仕込みも着々と進行。とはいえピンチの渦中で宙づりにされる明日夢ともども、やや不完全燃焼気味な一話ではあったので次回「ダブルライダー編」に期待。