久々に音楽系日記

三鷹在住音楽ファン御用達の三鷹パレードにてエサ箱を漁る。
HERBIE MANN/MEMPHIS UNDERGROUND('69) 4枚1050円レコード
R&Bのメッカ・メンフィスのスタジオミュージシャンと、ハービー・マンfl、ラリー・コリエルg、ロイ・エアーズvibほかのジャズメンが共演した、当時で言うところの「ジャズ・ロック」。随一の聴き物はサム&デイヴでお馴染みHOLD ON,I'M COMIN'で、BOOKER T & THE MGsスタイルのグルーヴィーなインストR&Bが、ソニー・シャーロックの破壊的な掻き毟りノイズギターによって混沌の渦に叩き込まれる様が痛快極まりない。予定調和ではない本物の化学反応がここにある。
YES/RELAYER('74) 4枚1050円レコード
エスの最高傑作という声もある本作、新加入のKBパトリック・モラーツの圧倒的なプレイヤビリティに刺激されたのか、超絶ジャズロック度が臨界点まで上昇、その分ジョン・アンダーソンの歌物バンドとしての存在感は減少している。モラーツはイエスの歴代KBで最高のプレイヤーだが、『リレイヤー』の凄まじいテンションに浸されると、逆にウェイクマンの間抜けなクラシック風味が、汁粉に入れる塩のようなチャームに感じられてくるから不思議。「サウンド・チェイサー」の爆走する難解アンサンブルは何度聴いてもとんでもないが、かといってこれが「シベリアン・カートゥル」より名曲だとも思えないところに、イエスの魅力の核があるような気がする。
YAZ/YOU AND ME BOTH('83) 4枚1050円レコード
アリソン・モイエの肉感的でソウルフルなヴォーカルと、元デペッシュ・モードで後にイレイジャーのヴィンス・クラークによる無機的なテクノ・サウンドが奇跡的に調和。ヴォーカル以外の身体性を徹底して排した禁欲的なプロデュースが、大変にクールかつポップ、ファンキーな音楽を生み出しており、この点ではユーリズミックスより徹底している。非常に音数の少ない編曲とメロディアスな楽曲のバランスが見事で、1年という活動期間の短さに、この絶妙な湯加減をキープするのは大変だったのだろうなあと想像する。
HELEN MERRILL/SAME('54) 4枚1050円レコード
本作録音時にヘレン・メリル24歳、全曲の編曲を担当したクインシー・ジョーンズが21歳。若い! ソリストとしてフィーチャーされたクリフォード・ブラウンtpほかのプレイヤーもクインシーの肝煎りで、若きサウンドプロデューサーの才気に打たれる。冒頭の'S WONDERFUL、YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TOに始まるお馴染みの名曲群を、ハスキーで柔らかい絹の声で歌い上げるヘレン・メリル。その余裕たっぷりに包み込むような歌いっぷりに、当時の24歳はどれだけ大人だったかと思わされる。ブラウンの煙るソロ、変幻自在なバックの演奏も見事。
THE MOODY BLUES/TO OUR CHILDREN'S CHILDREN'S CHILDREN('69) 105円レコード
突然嵐のようなメロトロンで幕を開ける本作だが、鬼面人を驚かすばかりの音楽ではない。アコースティック・ギターの響きと美しいコーラスが、表現の可能性を最大に引き出されたメロトロンと重なり合い、快活に歌うリズム体が聴く者の体を揺らす、英国流ポップの秀作だ。ちなみに全英チャート1位。5人のメンバー全員がソングライティングとヴォーカルを対等に分け合いながら、バンドとしての一体感は損なわれていない。スペイシーな昂揚感やロックの疾走感が、牧歌的な歌心と矛盾なく融合したサウンドは、60年代末のブリティッシュロックの輝きを今に伝える。