V.A./JUNE 1,1974 OUTTAKES

ブックオフの750円ワゴンで発掘したブツを、サービス券使用し400円で購入。ケヴィン・エアーズがイーノ、ジョン・ケイル、ニコを招き、ゲストプレイヤーにロバート・ワイアットマイク・オールドフィールドを加えた一大アングラ祭の、これは2枚組ブートレッグである。会場録音の上に、ところどころテープがよれていたりもするが、400円の買い物なので文句はない。西新宿ではこの値段では買えまい。
この機会に改めて正規盤も併せて聴いてみた。冒頭のイーノの強烈にエキセントリックなパフォーマンスに惑わされて気付かなかったが、ここで聴ける音楽は今聴くととても74年のものという感じがしない。ジョン・ケイルとニコのヴェルヴェッツ組にしろケヴィン・エアーズにしろ、70年代には失われた60年代末の情念やボヘミアニズムを濃厚に漂わせている。特に主催者であるエアーズの軽やかで緩くカジュアルな歌ものには、70年代ロックの仰々しさとは異なる魅力がある。一方でブートの2枚目に収められた長尺メドレーは、イーノのサウンドエフェクト、女声コーラス、ブルージーなギターをフィーチャーしたサイケデリックな演奏で、聴き応えはあるが多少冗長。ワイアットが叩き出す打楽器の乾いた音色も心地良い。イーノとケイルのファースト・コンタクトであるなどの歴史的意義を措いても、英米ボヘミアンがポップな実験精神を緩やかに交わらせた楽しい聴き物だった。