クリスマスツリー

午前4時。双子座流星群がまだ見えるかと外に出る。見上げると空は一面の雲に覆われ、流れ星どころか月影さえ映らない。所在なく上水路辺りに自転車を走らせる。豪邸の庭木に紅白の電飾が瞬く。幸福な家族のプレゼンテーション。疎ましさを感じるのもまた煩わしい。コンビニで「モンキーターン」最終回を立ち読み、肉まんと缶コーヒーを買い帰路に就く。公園の横手を抜ける道の右前方、不意に巨大なクリスマスツリーが現れた。並木の葉群を透かす団地の常夜灯が、視点の移動につれて明滅するように見えていたのだ。