円盤で買ったもの

まだ全然聴いてない。とりあえずメモ。→聴いた。以下感想。
BUZZ『BUZZ』(73年 100円)
バズの東郷昌和と小出博志は細野晴臣人脈の近くにいた人たちで、このデビュー作の音楽性もフォークではなく、ウェストコーストの匂いがするソフト・ロック(便利な言葉だ)と言える内容だ。東郷の柔らかくナイーブな声を中心にしたハーモニーが美しい。若き日の小原礼高橋幸宏がボトムを支えるとともに素朴な楽曲を提供している。小原作は後の「恋のミルキーウェイ」を思わせる。幸宏の兄で元GSの高橋信之が実質的なプロデュースとソングライティングで気を吐いており、スカイラインのCMで古い人にはお馴染みの(笑)「ケンとメリー(愛と風のように)」の作者がこの人だと初めて知った。
サディスティックス『WE ARE JUST TAKING OFF』(78年 100円)
不人気盤と書かれていたのだが、そんなに悪くないよ。全8曲を4人が2曲ずつプロデュースする完全分業体制で、音楽性ははっきり分かれている。ティンパンアレーの2ndくらいのテンション(向こうはカバー集なのでこっちのほうがまだマシか)。とはいうものの各自持ち味は出ていて、高中と幸宏はソロの延長上、次利はベースで主旋律を弾いている。だが、一番影が薄げな今井裕の、トロピカル・リゾートな楽曲が実は一番良かったり。そういや今井ソロ『ア・クール・イブニング』欲しいんだけど無いんだよなあ。
クラフト『ハンドクラフト』(75年 300円)
ウェストコースト系と帯にもライナーにも書かれているが、実際そこに根ざした演奏の腕やセンスはかなりのものだ(特にB面)。70年代のバンドは本当に上手い。ただそのサウンドも、あまりにも叙情派フォーク/ニューミュージック的なヴォーカルの声質や楽曲とのギャップが大きい。あるいはそれも70年代なのか。明らかにシングルヒットを目論んださだまさしの「精霊流し」路線の提供曲が、水の中の油のように浮いている。
URIAH HEEP/DEMONS AND WIZARDS('72 300円)
デヴィッド・バイロンのシャウトしない朗々たる歌声、ケン・ヘンズレーのオルガンが絡み合ういにしえの英国ロック。後のアメリカン・ハード・プログレの祖型がここにある、のだろうか。結構好き。
PROCOL HARUM/BROKEN BARRICADES('71 800円)
キーボードのマシュー・フィッシャーが前々作で抜け、その分ジミヘンの衣鉢を継ぐ(?)ロビン・トロワーの泣きのギターが(ミックス上も)全面に出た普通のロック色濃い仕上がり。とは言え、ゲイリー・ブルッカーの熱くて冷たい白人ソウルな歌声はやはり素晴らしく、リチャード・マニュエルそっくりな瞬間もあり泣かせる。影響関係ではなくルーツが同じなのだろう。英国のザ・バンドとしては『カフーツ』感が漂う、と言えば何となく伝わったり伝わらなかったり。英国の松本隆(逆だ)ことB・J・ウィルソンのドスンバタンと叩きまくるドラムも絶好調。傑作『グランドホテル』への道の途上か。
我々『魔法/きみほんとにすてきだね』(04年 300円シングルCD-R)
私は文章家としての我々のファンなので(特にあおうこずえさん)音を聴いてないのが申し訳なく思っていたのが、この300円のお得な値段に思わず購入。文章の内容からもっと落ち着いたじじむさい音を想像していたら、ガレージで弾けるギターポップだったので驚いた。音に勢いがあって声が若い。ただ、ラフな質感から録って出しのレア感は伝わるものの、もう少し処理に手をかけても良いのではと思ったり。ライヴ見たいな。