リリオスの浜に流れついたもの

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』(ハヤカワ文庫)をようやく読み始め、収録作3本のうち最初の1本を読み終える。マヤの名残りを残すメキシコの地を舞台に語られる奇妙な物語。何か昔ガルシア・マルケスの小説で読んだような気がするぞこういうの。とはいえマジック・リアリズム小説というほど不条理でも寓話的でもなく、現実と幻想には境界線が引かれている。アメリカ白人にとってのファンタジーな場所としてユカタン半島が選ばれたのだろうとも思える。雰囲気はなかなか良い感じ。