小椋佳『残された憧憬(あこがれ)〜落書〜』(74年)

吉祥寺RAREでまとめ買いした105円レコードの1枚。
少年期の少女への憧れを歌った収録曲の間に、大人になった自分の苦い心象を描いた「落書」という短い楽曲を挟み込んだ、緩やかなコンセプトアルバムといえる構成。編曲は星勝、演奏は細野晴臣林立夫深町純高中正義・安田裕美ら井上陽水『氷の世界』セッションメンバーに加え(その陽水も参加)、矢野誠鈴木明子矢野顕子)が参加しているという豪華なもの。とはいうものの、いわゆるティンパン系の音ではまったくない。小椋のノーブルで穏やかな声と安田裕美の美しいアコースティックギターを中心に、おそらくは星勝によって緻密に作り込まれたのだろう流麗なストリングスやフルートが絡むそのサウンドは、星勝と安田も作曲に参加した美メロとともにシンフォニック・ロックの叙情そのものだ。アコギと小椋の歌がシンプルに絡み合う場面はPFMを思わせたりもする。林立夫のマイケル・ジャイルズ風なドラムと深町純のメロトロンの共演なんて他では聴けそうにない。アルバム全体の構成もそうだが、『ポセイドンの目覚め』を思わせるヴォーカルのみの冒頭と、全楽曲の断片が走馬灯のように通り過ぎる終結部も大変にプログレ小椋佳侮り難し。


他に購入したのは以下。全て105円アナログ。
高橋ユキヒロ『音楽殺人』(79年)
飯島真理『midori』(85年)
南佳孝『SPEAK LOW』(79年)
矢沢永吉『ドアを開けろ』(77年)
MISSING PERSONS/RHYME & REASON('84)
TOM JOHNSTON/EVERYTHING YOU'VE HEARD IS TRUE('79)
RITA COOLIDGE/ALL ABOUT RITA COOLIDGE('79)