ごらん、パレードが行くよ

http://d.hatena.ne.jp/saltwatertaffy/20060612#p3
http://www2s.biglobe.ne.jp/~omo-8/(060701)
三鷹パレードはあまりに近くにありすぎて、そのありがたみをよくわかってなかったかも。いや、その盤質の管理や値付けの良心的なことは、他店に行けば実感できるのだが。そんなわけでパレードに行ってきた。いつも安いレコードばかり買ってすみません。今度もまた安いレコードですみません。これでもいつもよりは高いのだ(……)。
LUTHER ALLISON/NIGHT LIFE('76)
500円。有名なブルースマンらしいのだが全然知らなかった。参加ミュージシャンにリチャード・ティーやブレッカー・ブラザース、ドクター・ジョンらの名前があるのを頼りに購入。A面はゴリゴリのブルース色はやや抑えたソウルやニューオリンズ・ファンク寄りの内容で(アラン・トゥーサンドクター・ジョンの曲も演奏)、本人のアクの強いヴォーカルや粘るギターと、切れのあるバックがうまく調和している。くぐもった音色のベースと手数の多いドラムが格好良い。一方B面は伝統的なブルースで、シンプルな進行の上で感情を乗せきったシャウトとギター・ソロが聴ける。ブルースはなかなか手が出ないジャンルなのだけれど、こういう盤が埋まっているならたまには掘ってみたい。

加藤和彦『パパ・ヘミングウェイ』(79年)
600円。昔、加藤和彦が出演したラジオ番組で、かの森進一「冬のリヴィエラ」に触れて「リヴィエラに行ったこともないのにそんな歌を作っちゃいけない」と作詞の松本隆を批判してみせた発言を聞いたことがある。ミカバンドのロンドン公演、『それから先のことは』のマッスルショールズ録音、『うたかたのオペラ』のベルリン録音など、現地の空気ごと作品化しようとする「本物志向」が、かつての加藤和彦の創作姿勢にはあった。この『パパ・ヘミングウェイ』もかの文豪ゆかりの地バハマと、マイアミのクライテリア・スタジオに、坂本龍一高橋幸宏小原礼大村憲司らを同行して録音されている。このような贅沢が可能だったのは、当時の加藤の業界における存在感や、時代の勢いというものがあったからだろう。自らの声の質を完璧に把握したプロデュースと、安井かずみの真に上流を知る人ならではの詩世界が、リゾートの空気にニューウェーヴの毒を混ぜる絶妙のサウンドを得て、この時代加藤和彦にしか成しえなかった高みで「大人のロック」を表現しきっている。ところでこの『パパ・ヘミングウェイ』と次作『うたかたのオペラ』は、ほぼ同じメンバーで録音され、レゲエ・タンゴ・ニューウェーヴといった音楽的要素も、ヨーロッパ志向も共通している。にもかかわらず両者が全く異なる雰囲気を纏っているのは、コンセプトの違いはいうまでもなく、加藤の信じた「場所が持つ本物の力」がいかに大きかったかを示してもいるのだろう(坂本龍一が退き細野晴臣が加わったことによる変化も大きいにしても)。