自転車で行けるブラジル

Noite do Forro
2006年4月22日 吉祥寺Bar Drop
DJ:Takaxe/Willie Whopper/Alexandre
出演:Forro Legal/Tamanco Buco/Atabaque Brothers
ドミンゴさんとあゆみさんの結婚式で強烈に印象づけられたブラジル音楽の奥深さ。そんな奥がご近所で覗けるというので自転車転がし吉祥寺のライヴバーへ。20年住んでも知らない場所なんて無数にあるなあ。

最初に登場したAtabaque Brothers(アタバキ・ブラザーズ)は、パーカッション3人にブラジル人女性歌手兼ダンサーが加わった、強烈にフィジカルなバンド。メロディを奏でるのは歌声のみで、リズムの反復に煽られた会場ではカポエラなのかヒップホップなのか、派手なダンスを披露する男性が演奏者と向かい合う。こういうのを見ると自分の運動能力の低さを思い知るが、これはこれで楽しい。

若い女子5人全員が歌いパーカッションを叩く、その名も「タマンコ・ブーコ」。いやこれは逸材じゃないかしら。ボンブラがブラジルに渡って本場の音楽を5年くらい修業して帰ってきたとかそんな感じ(どんな感じだ)。彼女たちのやっているコーコ(coco)という音楽はブラジル北東部のダンス音楽でアフリカ色が非常に濃く、5色の美声がリードを入れ替えつつ縒り合わさり、打楽器群が複雑に絡み合ってポリリズムを奏でる。これはぜひライヴを体験すべし。見て良し聴いて良し踊って良し。音楽に全身を委ねる彼女達の輝きが眩しかったです。

トリは、先の結婚式でも出演したフォホー・レガウ。DJのWillie Whopperさんの紹介によると、フォホーというのはもともとブラジル北東部ローカルの、気軽なペアダンスのための音楽だったのだとか。その通り、会場で流れるフォホーに合わせてブラジル人の男女が実に自然に滑らかに踊っていて、これが身体に染みついた文化の蓄積なのだなあと思った。実は私もあゆみさんに手を取られて踊ったのだが、もう体がいうことを聞かない。文化系の限界をひしひしと。それはさておきフォホー・レガウ。ケペル木村さんの叩くザブンバと、トライアングル(トリアングロ)が緩やかだが確かなグルーブを作り、アコーディオンとギターが明るい旋律をリズミカルに奏でる。そして穏やかで優しい男性ヴォーカルが、先の2バンドとは異なる魅力で観客の心に染みる。いつしかカップルが踊り出し、周りのみんなも踊り出し、最後は輪になって会場をぐるぐると。心と体に優しい素敵な演奏でフォホーの夜に幕が下りた。いやーブラジル奥深し。