唐突に81年のほうへ

高円寺RAREで購入した100円レコード2枚。
高橋幸宏『ニウロマンティック』(81年)
持ってなかったのかよ!という1枚だがそこはどうかひとつ。YMOのヴォーカリストとして認知され、『増殖』『BGM』での楽曲とサウンドの充実を得た幸宏の、ソロアーティストとしての自信が漲る充実作。英国ニューウェーヴニューロマンティックの動きに並走、あるいは一歩先んじたという意識は、フィル・マンザネラとアンディ・マッケイの参加にも表れているが(影響されたブライアン・フェリーの位置をそのまま占めてしまうのだから)、それよりもトニー・マンスフィールドの参加が感動的だ。プレイヤーとしての貢献以前に、同じ時代の音を作っているという同伴者としての存在感がそこにはある。それにしてもこの音楽の迷いのなさはどうだ。これもYMOというホームがあればこその揺るぎなさだったのだろうか。この時期にはまだ執着があったドラマー高橋幸宏の演奏も素晴らしい。そういえばこのアルバムがなければウィリアム・ギブスンニューロマンサー』も、ひいてはサイバーパンクも生まれなかったのだ。
イモ欽トリオ『ポテトボーイズNO.1』(81年)
これも今更ながら。当時人気絶頂の『欽ドン!良い子悪い子普通の子』から生まれた企画ユニットに提供したシングルが、松本隆細野晴臣の共同作業の再開、あるいは幻のはっぴいえんどリユニオンのきっかけになった。その大ヒット曲「ハイスクールララバイ」をはじめ3曲の細野作品を含むが、リリース元がフォーライフだけあって、大部分を占めるのは吉田拓郎南こうせつ作のニューミュージック歌謡だ。よって全体的にはそれほどテクノ歌謡でもないのだが、素朴な楽曲を無理矢理ニューウェーヴの側にねじ曲げる全盛期のムーンライダーズによる演奏編曲が、時代の徒花的な輝きをアルバムに与えている。中でも細野と鈴木慶一の共同編曲となる「失恋レッスン(A・B・C)」はテクノ歌謡屈指の名曲で、これが当時シングルカットされなかったのは実に惜しい。今は亡き井上大輔の作編曲による2曲では、チェッカーズに先駆けるようなロカビリー歌謡にライダーズがキレのある演奏で応えている。ロックンロールなサックスは当然井上だ。


この2枚の勢いで、今YMO関係を引っ張り出して聴いている。間もなく『BGM』が終わり。