第79回ギラギラナイト

2004年11月27日(土)高円寺円盤
DJ:岸野雄一/永田一直/秘密博士/田口史人/吉田哲人


一度は行ってみたいと思っていたこのオールナイトイベント、円盤常連のクドウハルヲさんがmixiで呼び掛けていたのを見て、鼻水垂らしつつ自転車漕いで高円寺へ。もともと小さな店ではあるが満員の盛況。コスプレイヤーの声ちゃんや女優の洞口依子さんが来ていた。洞口さんはガンで大手術をされたということを新聞で知ったばかりだが、可愛く若々しく思ったより小柄だった。
さて、DJの内容だが、モンドとかカルトなどという形容では語り切れない。歌謡曲はもとより演歌、浪曲、社歌や童謡のソノシート、効果音に至るまで、通常のクラブミュージック的な選曲とは激しく異なる。スクリーンに写される映像も、20年以上昔のテレビ番組やCM、邦画、ニュースや政見放送(!)など膨大なストックを巧みに編集してはあるものの、何のために録画しておいたのか通常の価値では計れない類の素材ばかりだ。
だが、このような世間からは捨てられた音や映像がギラギラDJたちの手にかかると、それらに潜在していた今では失われた時代の表現のパワー、因業としか言い様のない人間力が現前し、否が応でも脳の皺の隅々まで擦り込まれてしまう。さらに後半は秘密博士岸野雄一がレコードに合わせて歌い舞い、まさに「高円寺コマ劇場」(ハルヲ氏)の様相を呈す凄まじさ。真にオルタナティヴな表現というものはこういうものであろう。
ただ、これも高円寺円盤という場所と、そこに集う理解ある客の存在あってのことかもしれない、とは思う。思うが、世界でも類例を見ない表現が日々生まれるような場所があるということ自体に価値がある。リピーターが少ないと岸野さんは言っていたが、次回もとは言わないまでも(笑)そのうちまた参加してみたい。皆さんも一度、日本文化の奇跡を後学のために覗いてみてはいかがだろう。少なくともDJという表現の底知れない自由さは感じ取れるはずだ。